「若紫」テスト問題〈1/3〉

 

【一】本文について、設問に答えよ。

日もいと長きに、つれづれなれば、夕暮れのいたう霞みたるに紛れて、かの小柴垣のもとに立ち出で給ふ。人々は帰し給ひて、①惟光朝臣とのぞき給へば、ただこの西面にしも、持仏据ゑ奉りて行ふ尼なりけり。簾少し上げて、花奉るめり。中の柱に寄りゐて、脇息の上に経を置きて、いと悩ましげに読みゐたる尼君、②ただ人と見えず。四十余ばかりにて、いと白うあてに痩せたれど、つらつきふくらかに、まみのほど、髪のうつくしげにそがれたる末も、③なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかな、とあはれに見給ふ。
清げなる大人二人ばかり、さては、童べぞ出で入り遊ぶ。中に、十ばかり④にやあらむと見えて、白き衣、山吹などの萎えたる着て走り来たる女子、あまた見えつる子どもに似るべうもあらず、⑤いみじく生ひ先見えて、うつくしげなるかたちなり。髪は扇を広げたるやうにゆらゆらとして、顔はいと赤くすりなして立てり。

問一 次の語句の読みを、ひらがな(現代仮名遣い)で答えよ。
①朝臣 ②簾

問二 傍線部①とあるが、
(1)なぜこのような行動をとったのか。その理由にあたる部分を本文から十五字以内で探して、はじめと終わりの三字を抜き出せ。
(2)「のぞき給へ」のような行為をなんというか。四字以内で書け。

問三 傍線部②の現代語訳として、最も適切なものを次から選べ。
ア ただ、人には見えない。
イ 普通の人に見えない。
ウ 高貴な人に見えない。
エ 安い人には見えない。

問四 傍線部③の意味を五字以内で書け。

問五 傍線部④とあるが、この部分の文法的説明としては不適切なものを選び、記号で答えよ。
ア 断定の助動詞が用いられている。
イ 「や」は係助詞で「む」に係っている。
ウ 「む」は推定の助動詞の連体形である。
エ 用言は合計三つである。

問六 傍線部⑤を現代語訳しなさい。

問七 本文の出典と作者を漢字で答えよ。

 

 

 

 

 

 

【解答例】
問一 ①あそん ②すだれ
問二(1)日もい〜なれば
(2)垣間見 かいまみ
問三 イ
問四 かえって
問五 ウ (推量の助動詞である)
問六 たいそう成長後の美しさが感じられて、かわいらしい容貌である。
問七 源氏物語、紫式部

 

 

 

 

 

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