「須磨の秋」テスト問題〈2/3〉設問

【二】本文について、設問に答えよ。

前栽の花いろいろ咲き乱れ、おもしろき夕暮れに、海①見やらるる廊に出で給ひて、たたずみ給ふ御さまのゆゆしう清らなること、所がらはましてこの世のものと見え給はず。白き綾②なよよかなる、紫苑色など奉りて、こまやかなる御直衣、帯しどけなくうち乱れ給へる御さまにて、「釈迦牟尼仏弟子」と名のりてゆるるかに誦み給へる、また世に知らず聞こゆ。沖より舟どものうたひののしりて漕ぎ行くなども聞こゆ。ほのかに、ただ小さき鳥の浮かべると見やらるるも心細げなるに、雁の連ねて鳴く声、楫の音にまがへるを、うちながめ給ひて、③涙のこぼるるをかき払ひ給へる御手つき、黒き御数珠に映え給へるは、ふるさとの女恋しき人々の、心みな慰みにけり。
初雁は恋しき人の列なれや旅の空飛ぶ声の悲しき
とのたまへば、良清、
かき連ね昔のことぞ思ほゆる雁はその世の友ならねども
民部大輔、
心から常世を捨ててなく雁を雲のよそにも思ひけるかな
前右近将監、
「常世出でて旅の空なるかりがねも列におくれぬほどぞ慰む
友惑はしては、いかに侍らまし。」と言ふ。親の常陸になりて下りしにも⑤誘はれで、参れるなりけり。下には思ひくだく⑥べかめれど、誇りかにもてなして、⑦つれなきさまにし歩く。

問一 次の語句の読みを、ひらがな(現代仮名遣い)で答えよ。
①前栽 ②紫苑 ③直衣 ④常陸

問二 傍線部①を文法的に説明したものとして、最も適切なものは次のうちどれか。
ア ヤ行四段活用動詞+自発の助動詞
イ  ラ行四段活用動詞+自発の助動詞
ウ マ行上一段活用動詞+受身の助動詞
エ ヤ行上一段活用動詞+受身の助動詞

問三 傍線部②の用法として、適切なものは次のうちどれか。
ア 主格   イ  連体修飾格   ウ  同格   エ 体言の代用

問四 傍線部③とあるが、その「手」はどのような手だと推測されるか。
ア 男性らしく、綺麗な手。
イ 女性らしく、白い手。
ウ  男性らしく、美しい手。
エ 女性らしく、幼い手。

問五 W〜Zの歌に共通して詠まれている心情を漢字二字で書け。

問六 傍線部④・⑤・⑦の現代語訳として、最も適切なものを各々選択肢から選び、記号で答えよ。
④「友惑はしては、いかに侍らまし。」
ア もし友を騙してしまえば、どのように謝れば良いでしょう。
イ  もし友を惑わしては、どのように生きましょう。
ウ  もし友を失っては、どのようにお仕えしましょう。
エ  もし友を見失っては、どのようでございましょう。
⑤「誘はれで」
ア 誘われないで
イ 誘うことができないで
ウ ついていかないで
エ  断られてしまって
⑦「つれなきさま」
ア 平然とした様子
イ 中途半端な様子
ウ  風情がない様子
エ  つまらない様子

問七 傍線部⑥の文法的説明として、最も適切なものは次のうちどれか。
ア 当然の助動詞の撥音便無表記+推定の助動詞
イ 適当の助動詞の促音便無表記+婉曲の助動詞
ウ 意志の助動詞の撥音便無表記+婉曲の助動詞
エ  可能の助動詞の促音便無表記+推定の助動詞

問八 本文の出典と作者を漢字で答えよ。

◆答えはこちら!!

「須磨の秋」テスト問題〈2/3〉解答例

 

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*

CAPTCHA