「肝試し・道長の豪胆」テスト問題〈2/2〉設問

 

【二】本文について、設問に答えよ。

「子四つ。」と奏して、かく仰せられ議するほどに、丑にもなりにけむ。「道隆は右衛門の陣より出でよ。道長は承明門より出でよ。」と、それをさへ分かたせ給へば、①しかおはしましあへるに、中関白殿、陣まで念じておはしましたるに、宴の松原のほどに、そのものともなき声どもの聞こゆるに、術なくて②帰り給ふ。粟田殿は、露台の外まで、③わななくわななくおはしたるに、仁寿殿の東面の砌のほどに、軒と等しき人のあるやうに見え給ひければ、ものもおぼえで、「④身の候はばこそ、仰せ言も承らめ。」とて、⑤おのおの立ち帰り参り給へれば、御扇をたたきて⑥笑はせ給ふに、入道殿はいと久しく見えさせ給はぬを、いかがと思し召すほどにぞ、いとさりげなく、ことにもあらずげにて参らせ給へる。「いかにいかに。」と問はせ給へば、いとのどやかに、御刀に、削られたる物を取り具して奉らせ給ふに、「こは何ぞ。」と仰せらるれば、「ただにて帰り参りて侍らむは、証候ふまじきにより、⑦高御座の南面の柱のもとを削りて候ふなり。」と、つれなく申し給ふに、いとあさましく思し召さる。異殿たちの御気色は、いかにもなほ直らで、この殿のかくて参り給へるを、帝よりはじめ感じののしられ給へど、うらやましき⑧にや、またいかなる⑨にか、ものも言はでぞ候ひ給ひける。
なほ疑はしく思し召されければ、つとめて、「蔵人して、削り屑をつがはしてみよ。」と仰せ言ありければ、持て行きて押し付けて見給びけるに、⑩つゆ違はざりけり。その削り跡は、いとけざやかにて侍めり。末の世にも、見る人はなほあさましきことにぞ申ししかし。

 

 

問一 次の語句の読みを、ひらがな(現代仮名遣い)で答えよ。
①丑 ②蔵人

問二 傍線部①について、現代語訳として最も適切なものは次のうちどれか。
ア 天皇が命じた道筋で同時にお出かけになったところ
イ 天皇が命じた道筋を確認して出発し申しあげたところ
ウ 天皇が命じた建物を知らなかったため確認したところ
エ 天皇が命じた建物が現存する建物なのかを調べたところ

問三 傍線部②とあるが、その理由となる部分を本文から十六字で探して、はじめと終わりの三字を書け。

問四 傍線部③について
(1)用いられている動詞を《例》にならって文法的に説明せよ。
《例》丑にもなりにけむ。→ ラ行四段活用動詞「なる」の連用形
(2)現代語訳せよ。

問五 傍線部④について
(1)①係助詞を指摘し、②その結びを抜き出せ。
(2)現代語訳せよ。

問六 傍線部⑤とは対比的な表現を十二字で抜き出せ。

問七 傍線部⑥とあるが、なぜ帝は笑ったのか。(1)は指定に従って、(2)(3)は各々選択肢より選び記号で答えよ。
道兼は肝試しの途中で引き返し、(1 本文から十五字以内 )と進言したが、帝は( 2 )から引き返したことを見抜いており、引き返す口実に帝への( 3 )を持ち出したことがおもしろかったから。
《選択肢》
ア 羞恥心  イ 利己心  ウ 恐怖心  エ 対抗心  オ 克己心  カ 忠誠心

問八 傍線部⑦と同意の部分を六字で抜き出せ。

問九 傍線部⑧・⑨について
(1)共通して直下に補える語を三字で答えよ。
(2)共通する文法的説明として最も適切なものは次のうちどれか。
ア 断定の助動詞+過去の助動詞
イ 断定の助動詞+疑問の係助詞
ウ 完了の助動詞+過去の助動詞
エ 完了の助動詞+疑問の係助詞

問十 傍線部⑩を現代語訳せよ。

問十一 本文に合致するものは次のうちどれか。
ア 入道殿は肝試しから平然とした様子で帰ってきたが、実際は怖いと思っていた。
イ 中関白殿は得体の知れない声が聞こえていたが、我慢して肝試しを続行した。
ウ 粟田殿は激怒している入道殿に恐れて、何も言うことができなかった。
エ 花山天皇は入道殿が本当に肝試しの目的地まで行ったのかを疑った。

問十二 出典と文学ジャンルを答えよ。

 

◆解答例はこちら

「肝試し・道長の豪胆」テスト問題〈2/2〉解答例

 

 

 

 

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