「木曽の最期」テスト問題〈1/3〉設問




【一】本文について、設問に答えよ。

木曽左馬頭、その日の装束には、赤地の錦の直垂に唐綾縅の鎧着て、鍬形打つたる甲の緒締め、いかものづくりの大太刀はき、石打ちの矢〈1〉、その日のいくさに射て少々残つたるを、頭高に負ひなし、滋籐の弓持つて、聞こゆる木曽の鬼葦毛といふ馬〈2〉、①きはめて太うたくましいに、黄覆輪の鞍置いてぞ乗つたりける。鐙ふんばり立ち上がり、大音声をあげて名のりけるは、「昔は聞き②けんものを、木曽の冠者、今は見る③、左馬頭兼伊予守、朝日の将軍源義仲ぞや。甲斐〈3〉一条次郎とこそ聞け。互ひによいかたきぞ。義仲討つて兵衛佐に見せよや。」とて、をめいて駆く。一条次郎、「ただ今名のるは大将軍ぞ。あますな者ども、もらすな若党、討てや。」とて、大勢の中に取りこめて、④我討つ取らんとぞ進みける。木曽三百余騎、六千余騎が中を、縦様・横様・蜘蛛手・十文字に駆け割つて、後ろへつつと出でたれば、五十騎ばかりになりにけり。そこを破つて行くほどに、土肥次郎実平二千余騎でささへたり。それをも破つて行くほどに、あそこでは四、五百騎、ここでは二、三百騎、百四、五十騎、百騎ばかりが中を、駆け割り駆け割り行くほどに、主従五騎にぞなりにける。⑤五騎がうちまで巴は討たれざりけり。⑥木曽殿、おのれはとうとう、女なれば、いづちへも行け。我は討ち死にせんと思ふなり。もし人手にかからば自害をせんずれば、木曽殿の最後のいくさに、女を具せられたりけりなんど言はれんことも、しかるべからず。とのたまひけれども、なほ落ちも行かざりけるが、あまりに言はれたてまつりて、「あつぱれ、よからうかたきがな。最後のいくさして見せたてまつらん。」とて、控へたるところに、⑦武蔵の国に聞こえたる大力、御田八郎師重、三十騎ばかりで出で来たり。巴、その中へ駆け入り、御田八郎に押し並べて、むずと取つて引き落とし、わが乗つたる鞍の前輪に押しつけて、ちつともはたらかさず、⑧首ねぢ切つて捨ててんげり。そののち、物具脱ぎ捨て、東国の方へ落ちぞ行く。手塚太郎討ち死にす。手塚別当落ちにけり。

 

問一 次の語句の読みを、ひらがな(現代仮名遣い)で答えよ。
①直垂 ②鞍

問二 〈1〉〜〈3〉「の」について、
(1)同じ用法のものはどれとどれか。
(2)(1)の同じ用法として、適切なものは次のうちどれか。
ア 主格 イ 連体修飾格 ウ 同格 エ 体言の代用

問三 傍線部①は何について述べたものか。一語で抜き出せ。

問四 傍線部②・③の助動詞の意味の組み合わせとして、適切なものは次のうちどれか。
ア ②過去推量 ③現在推量
イ ②過去推量 ③現在の原因推量
ウ ②過去の原因推量 ③現在推量
エ ②過去の原因推量 ③現在の原因推量

問五 傍線部④の現代語訳として、最も適切なものは次のうちどれか。
ア 自分が討ち取ったと進言した。
イ 自分は討ち取られまいと進んだ。
ウ 自分を討ってくれと進言した。
エ 自分が討ち取ろうと進んだ。

問六 傍線部⑤の現代語訳として、最も適切なものは次のうちどれか。
ア 五騎が内側に入っても、巴は討たれなかった。
イ 五騎になるまで、巴は討たれなかった。
ウ 五騎に囲まれて、巴は討たれてしまった。
エ 五騎を用いても、巴は討つことができなかった。

問七 傍線部⑥とあるが、
(1)木曽殿の発言はどこからどこまでか。発言のはじめと終わりの五字を抜き出せ。
(2)(1)に込められた木曽殿から巴への気持ちとして、最も適切なものは次のうちどれか。
ア 諦め イ 信頼 ウ 愛情 エ 嘆き

問八 傍線部⑦について、
(1)読みを、ひらがな(現代仮名遣い)で答えよ。
(2)現在のどの都道府県に相当するか。漢字で答えよ。

問九 傍線部⑧の主語を本文から抜き出せ。

問十 本文の出典を漢字で答えよ。

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「木曽の最期」テスト問題〈1/3〉解答例




 

 

 

 

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