【三】本文について、設問に答えよ。
しばらくするとまた唐紅の天道がのそりと昇ってきた。①そうして黙って沈んでしまった。二つとまた勘定した。
自分はこういうふうに一つ二つと勘定してゆくうちに、赤い日をいくつ見たかわからない。勘定しても、勘定しても、し尽くせないほど赤い日が頭の上を通り越していった。それでも百年がまだ来ない。しまいには、苔の生えた丸い石を眺めて、②自分は女にだまされたのではなかろうかと思い出した。
すると石の下から斜に自分のほうへ向いて青い茎が伸びてきた。見る間に長くなってちょうど自分の胸のあたりまで来て止まった。と思うと、すらりと揺らぐ茎の頂に、心持ち首を傾けていた細長い一輪のつぼみが、ふっくらと花びらを開いた。真っ白な百合が鼻の先で骨にこたえるほど匂った。そこへはるかの上から、ぽたりと露が落ちたので、花は自分の重みでふらふらと動いた。自分は首を前へ出して冷たい露の滴る、白い花びらに接吻した。自分が百合から顔を離す拍子に思わず、遠い空を見たら、③暁の星がたった一つ瞬いていた。
④「百年はもう来ていたんだな。」とこのとき初めて気がついた。
問一 傍線部①で用いられている表現技法は次のうちどれか。
ア 換喩法 イ 直喩 ウ 擬人法 エ 互文法
問二 傍線部②とあるが、なぜか。
問三 傍線部③「暁の星」を漢字二字で言い換えなさい。
問四 傍線部④とあるが、その理由を説明しなさい。
【解答例】
問一 ウ
問二 日をいくつ数えてもいっこうに百年が経たないから。
問三 金星(明星)
問四 真っ白な百合が女の化身であることに気がついたから。
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2020.6.19にサイト「ことのは」を開設、高校国語(現代文、古文、漢文)のテスト問題やプリントを作成、まれに中学国語の教材も扱っています。リクエストがあればコメントかTwitterのDMまで!!