「観音のご加護」テストでよく出題される問題




【一】本文について、設問に答えよ。

今は昔、身いとわろくて過ごす女❶ありけり。時々来る男、❷たりけるに、雨に降りこめられてゐたるに、「いかにしてものを食はせむ。」と思ひ嘆けど、①すべき方もなし。日も暮れ方になりぬ。②いとほしくいみじくて、「わが頼みたてまつりたる観音、助けたまへ。」と思ふほどに、わが親のありし世に使はれ❸女従者、③いときよげなる食ひ物を持て来たり。うれしくて、④よろこびに取らすべきもののなかりければ、小さやかなる紅き小袴を持ちたりけるを、取らせてけり。我も食ひ、⑤にもよくよく食はせて、寝にけり。暁に男は出でて❹いぬ

つとめて、持仏堂にて、観音持ちたてまつりたりけるを、⑥見たてまつらむとて、帳立て、❺据ゑまゐらせたりけるを、帷子引き開けて見まゐらす。この女に取らせし小袴、仏の御肩にうち掛けておはしますに、いとあさまし。昨日取らせし袴なり。⑦あはれにあさましく、おぼえなくて持て来たりしものは、この⑧仏の御しわざなりけり。

 

 

 

問一 次の語句の読みを、ひらがな(現代仮名遣い)で答えよ。
①女従者 ②小袴 ③帷子

問二 傍線部❶〜❺の動詞の活用の行と種類をそれぞれ答えなさい。
(例)日も暮れ方になりぬ。
(答え)ラ行四段活用

問三 傍線部①とは、どういうことか。簡潔に説明しなさい。

問四 傍線部②とあるが、誰のどのような気持ちなのか。説明しなさい。

問五 傍線部③・⑦を現代語訳しなさい。

問六 傍線部④とあるが、その意味として最も適切なものを選び、記号で答えよ。
ア 喜んで受け取ってくれそうなものがなかったので
イ お礼に与えるのにふさわしいものがなかったので
ウ 笑顔で食べてくれそうなものが全くなかったので
エ ご褒美として頂戴するには、申し訳なかったので

問七 傍線部⑤とは、何を指すか。本文から五字で抜き出せ。

問八 傍線部⑥は、何を「見たてまつらむ」としたのか。本文から二字で抜き出せ。

問九 傍線部⑧「仏の御しわざ」であったとわかった理由を説明しなさい。

問十 女が昨日の真相に気づいたことがわかる部分を九字で抜き出せ。

問十一 この本文は時間の経過を表す語が順に三つ用いられている。時間の経過順に三つ抜き出しなさい。

問十二 出典を答えなさい。

 

 




 

 

 

 

 

【解答例】

問一 ①おんなずさ ②こばかま ③かたびら

問二 ❶ラ行変格活用

❷カ行変格活用

❸サ行変格活用

❹ナ行変格活用

❺ワ行下二段活用

問三 女の家に男に食べさせるものが何もなかったこと。

問四 女の、自分をあわれで情けなく思う気持ち。

問五 ③おいしそうな食べ物

⑦感動して驚きあきれて

問六 イ

問七 時々来る男

問八 観音

問九 観音像の方に女従者に与えた小袴がかかっており、おいしそうな食べ物を持ってきたのが、観音であったとわかったから。

問十 あはれにあさましく

問十一 暮れ方→暁→つとめて

問十二 古本説話集

 

 

 

 

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