「いみじき成敗」「正直の徳」テスト問題

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【一】本文について、設問に答えよ。

唐土にいやしき夫婦あり。餅を売りて世を渡りけり。夫の、道のほとりにして餅を売りけるに、人の袋を落としたりけるを見ければ、銀の軟挺六つありけり。【X】妻、心素直に欲なき者にて、「我らは商うて過ぐれば、ことも欠けず。この主いかばかり嘆き求む②らん。いとほしきことなり。③主を尋ねて返したまへ。」と言ひければ、「まことに。」とて、あまねく触れけるに、主といふ者出で来て、これを得てあまりにうれしくて、「④三つをば奉らん。」と言ひて、【Y】すでに分かつべかりけるとき、思ひ返して、煩ひを出ださんがために、「⑤( )つこそありしに、六つあるこそ不思議なれ。一つは隠されたるにや。」と言ふ。「さることなし。もとより六つこそあり《 し 》。」と論ずるほどに、果ては国守のもとにして、これをことわらしむ。【Z】
国守、眼さかしくして、この主は不実の者なり、この男は正直の者と見ながら、不審なりければ、かの妻を召して、別の所にて、ことの子細を尋ぬるに、⑥夫が状に少しもたがはず。この妻はきはめたる正直の者と見て、かの主不実のこと確かなりければ、国守の判にいはく、「このこと確かの証拠なければ、判じがたし。ただし、ともに《   》と見えたり。夫妻また言葉変はらず、主の言葉も正直に聞こゆれば、七つあらん軟挺を尋ねて取るべし。これは六つあれば、別の人のにこそ。」とて、六つながら夫妻に給はりけり。宋朝の人、⑦いみじき成敗とぞ、あまねくほめののしりける。

 

 

問一 次の語句の読みを、ひらがな(現代仮名遣い)で書け。
①唐土 ②銀

問二 傍線部①について
(1)現在のどの国か。
(2)同意の語を本文から二字で抜き出せ。

問三 傍線部②の助動詞の意味を漢字で書け。

問四 傍線部③とあるが、妻がこのように発言したのはなぜか。

問五 傍線部④の現代語訳として適切なものは次のうちどれか。
ア お礼として三つ差し上げよう。
イ 褒美として三つお与えなさい。
ウ 銀の軟挺を三つ差し上げなさい。
エ 銀の軟挺を三つお与えください。

問六 傍線部⑤について
(1)空欄( )に入るべき漢数字を書け。
(2)傍線部内では「こそ」が二つあるが、それぞれの結びの説明として最も適切なものは次のうちどれか。
ア 前者の結びは省略されており、後者の結びは消滅している。
イ 前者の結びは「に」であり、後者の結びは乱れている。
ウ 前者の結びは流れており、後者の結びは「なれ」である。
エ 前者の結びは「し」であり、後者の結びは流れている。

問七 《 し 》を適切なかたちに活用させよ。

問八 傍線部⑥について、「夫が状」の内容にあたる連続した二文を探して、初めの三字のみ抜き出せ。

問九 《    》に入るべき四字の言葉を本文から抜き出せ。

問十 傍線部⑦について、なぜ「いみじき成敗」と判断したのか。それを説明したものとして最も適切なものは次のうちどれか。
ア 正直の者が出世するように仕向けたから。
イ 正直の者が得をするような判決をしたから。
ウ 不実の者がめぐりめぐって損をしたから。
エ 不実の者が嘘をついたことを認めたから。

問十一 次の一文が入るのは本文中の【X】【Y】【Z】のうちどこか。
◆家に持ちて帰りぬ。

問十二 本文の出典と、作者、文学ジャンルを漢字で答えよ。

 

 




 

 

 

 

 

 

 

 

【解答例】
問一 ①もろこし ②しろかね
問二 (1)中国(2)宋朝
問三 現在推量
問四 銀の軟挺の持ち主が悲しくなりながら袋を探していると思うと気の毒に思えたから。
問五 ア
問六 ウ
問七 しか
問八 さるこ
問九 正直の者
問十 イ
問十一 【X】
問十二 沙石集、無住道鏡、仏教説話集

 

 

 

 

 

 

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