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『夢十夜』【第六夜】3/3 テスト問題





 

【三】本文について、設問に答えよ。

自分はこのとき初めて①彫刻とはそんなものかと思い出した。はたしてそうなら誰にでもできることだと思い出した。それで急に自分も仁王が彫ってみたくなったから見物をやめて早速家へ帰った。
道具箱から鑿と金廨を持ち出して、裏へ出てみると、先だっての暴風で倒れた樫を、薪にするつもりで、木挽きに挽かせた手ごろなやつが、たくさん積んであった。
自分はいちばん大きい②を選んで、勢いよく彫り始めてみたが、不幸にして、仁王は見当たらなかった。その次のにも運悪く掘り当てることができなかった。三番目のにも仁王はいなかった。自分は積んである薪を片っ端から彫ってみたが、どれもこれも仁王を蔵しているのはなかった。ついに明治の木にはとうてい仁王は埋まっていないものだと悟った。③それで運慶が今日まで生きている理由もほぼわかった

 

 

問一 傍線部①の内容を説明しなさい。

問二 傍線部②「の」が表している名詞を一字で書け。

問三 傍線部③の内容を説明しなさい。

 

 

 




 

 

 

 

 

 

【解答例】

問一 彫刻とは、作るものではなく、木の中に埋まっているものを掘り出すだけだということ。

問二 薪

問三 軽薄な明治の時代に対して、運慶の芸術の価値は貴重で不変であることがわかった。