「朱雀院の女御失せ給ひし後、女房の和歌を詠める事」テスト問題

【一】本文について、設問に答えよ。

今は昔、朱雀院の1女御と申すは、小野宮の太政大臣の御娘なり。しかるに、その女御の御許に候ひける女房ありけり。名をば助とぞいひける。形・有様よりはじめて、心ばへをかしかりければ、女御、これをむつましき者にして、あはれに思ひたりければ、女房もむつましく思ひ通はして過ぎけるほどに、常陸守が妻になりて、その国に下りにけり。2心苦しく思ひけれども、あながちにいざなひければ、国に下りても、女御を恋ひ奉りけるに、かの女御に御覧ぜさせむとて、厳しき貝どもを拾ひて、箱一具に入れて持て上せたりけるに、女御失せ給ひにけりと聞きて、3泣き悲しむといへば疎かなりや
しかれども甲斐なくして、その貝一箱を、「これ、御誦経にせさせ給へ。」とて、大き大臣に奉りたりけるに、貝の中に、助、かくなむ書き入れたりける、
拾ひおきし君もなぎさのうつせ貝今はいづれのうらによらまし
と。大き大臣これを見給ひて、涙にむせ返りて、泣く泣く御返し、かくなむ、
たまくしげうらみうつせるうつせ貝君がかたみと拾ふばかりぞ
と。まことにそのころほひは、これを聞きて泣かぬ人なかりけり、となむ語り伝へたるとや。

 

 

問一「1女御」の読みをひらがな(現代仮名遣い)で答えよ。

問二「2心苦しく…ども」について、Ⅰ誰がⅡどのようなことを「心苦し」いと感じたのか。Ⅰには人物名を答え、Ⅱは二十字以内で本文から抜き出せ。

問三「3泣き悲しむといへば疎かなりや」とあるがなぜか。その理由として最も適切なものを選べ。
ア 女御を失った常陸守が泣いて悲しんでいる姿がかわいそうに思えたから。
イ 女御と非常に仲が良かった女房にとって、女御の死は残念であったから。
ウ 女御のために美しい貝を拾ったのに、渡すことができず悲しかったから。
エ 女御が亡くなることは、自分にとって喜ばしいものであると感じたから。

問四 XとYの歌に関する説明として適切なものを全て選び、記号で答えよ。
ア Xは助の歌で、女房を失ってしまい、深く悲しい気持ちを詠んでいる。
イ Xは女房の歌で、亡くなった女御との懐かしい思い出が詠み込まれている。
ウ Yは太政大臣の歌で、歌中の「君」は亡くなった人物である女御を指している。
エ Yは常陸守の歌で、「たくましげ」という枕詞が「うらみ」の「み」にかかっている。

問五 次の一文は本文中のどこに入るか。入るべき箇所の直後の四字を書け。
その女御はかなく失せ給ひにけり。

問六 本文の出典を漢字で答えよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答例】

問一 にょうご
問二 Ⅰ(女房) Ⅱ常陸守が妻になりて、その国に下りにけり。(常陸守が妻になりて、その国に下りにけり)
問三 
問四    アウ
問五 しかるに
問六 今昔物語集

 

 

 

 

 

 

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