「木曽の最期」テスト問題〈2/3〉設問




【二】本文について、設問に答えよ。

今井四郎、木曽殿、主従二騎になつて、のたまひけるは、「①日ごろは何ともおぼえぬ鎧が、今日は重うなつたるぞや。」今井四郎申しけるは、「御身もいまだ疲れさせたまはず、御馬も弱り候はず。何によつてか、一領の御着背長を重うはおぼしめし候ふべき。②それは、御方に御勢が候はねば、臆病でこそさはおぼしめし候へ。兼平一人候ふとも、余の武者千騎とおぼしめせ。矢七つ八つ候へば、しばらく防き矢つかまつらん。あれに見え候ふ、粟津の松原と申す、あの松の中で御自害候へ。」とて、打つて行くほどに、また新手の武者、五十騎ばかり出で来たり。「③はあの松原へ入らせたまへ。兼平はこのかたき防き候はん。」と申しければ、木曽殿のたまひけるは、「義仲、都にていかにもなるべかりつるが、これまで逃れ来るは、なんぢと一所で死なんと思ふためなり。ところどころで討たれんよりも、ひとところでこそ討ち死にをもせめ。」とて、馬の鼻を並べて駆けんとしたまへば、今井四郎、馬より飛び下り、主の馬の口に取りついて申しけるは、「④弓矢取りは、年ごろ日ごろいかなる高名候へども、最後のとき不覚しつれば、長き疵にて候ふなり。御身は疲れさせたまひて候ふ。続く勢は候はず。かたきに押し隔てられ、言ふかひなき人の郎等に組み落とされさせたまひて、討たれさせたまひなば、『さばかり⑤日本国に聞こえさせたまひつる木曽殿をば、それがしが郎等の討ちたてまつたる。』なんど申さんことこそ、くちをしう候へ。ただあの松原へ入らせたまへ。」と申しければ、木曽、「さらば。」とて、粟津の松原へぞ駆けたまふ。

 

問一 次の語句の読みを、ひらがな(現代仮名遣い)で答えよ。
①粟津 ②汝

問二 傍線部①とあるが、これは誰のどのような様子を述べているか。

問三 傍線部②が指示する内容として適切なものは次のうちどれか。
ア 戦いの中で臆病になってしまい、鎧を脱いだこと。
イ 接戦なる争いの中で鎧に傷をつけてしまったこと。
ウ 普段は何とも感じない鎧が今日は重く感じること。
エ 普段身につけている鎧が敵の攻撃で貫通したこと。

問四 傍線部③は誰を指しているか。次の選択肢より選び、記号で答えよ。
ア 今井四郎 イ 木曽殿 ウ 馬 エ 敵

問五 傍線部④の解釈として、最も適切なものは次のうちどれか。
ア 武士は長い間自分をも奮い立たせて強敵に立ち向かっていくべきでございますが、せめて人生の最後は守りに入るべきでございます。
イ 武士は日頃から鍛錬を積み、己を磨いていることは承知ですが、死んでしまえば全てが水の泡となってしまいます。
ウ 武士は強敵を倒せば、自分の名を全国に轟かせることができますが、今回はそれが仇となってしまったようでございます。
エ 武士は常日頃どれほど名高い功績がございましょうと、人生の最後に失敗をしてしまえば、末代まで続く不名誉でございます。

問六 傍線部⑤を現代語訳しなさい。

問七 本文の出典を漢字で答えよ。

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「木曽の最期」テスト問題〈2/3〉解答例




 

 

 

 

 

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